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スタートレック:ピカード S1感想
本記事ではスタートレック:ピカードシーズン1全体を振り返ります。
以下、私個人の感想ですので「それは違う」等の意見もあろうかと思いますが
抵抗は無意味(Resistance is futile)ですのでご了承下さい。
TNGの続きをやってくれたことに純粋に感謝
私はスタートレック作品の中でTNG(新スタートレック)が一番好きで、
中でもジャン=リュック・ピカードが一番好きなキャラクターです。
そんなピカード艦長のその後を描く
スタートレック:ピカードが発表された時はとても嬉しく期待した事を覚えています。
本作、スタートレック:ピカード シーズン1は
TNGおよびその劇場版の時間軸から20年後の世界を描いています。
テクノロジー的に過去作から進歩した姿を描いても何も問題ないわけで、この時間軸の設定は良かったと思います。
(私は「ディスカバリー」の作風はテクノロジー(それとクリンゴン人)の設定にかなり無理があると思っています。)
次第に活力を増すピカードの描かれ方が良かった
TNGの時間軸から20年後、すでに94歳になったピカードを描くということはとてもチャレンジングだったと思われます。
そもそも老人を主人公にしたドラマというのはなかなか珍しく、
私が知っているのはアガサ・クリスティ ミス・マープルぐらいでしょうか。
ピカードはもう若い頃のようにキビキビ動くことは難しく、
またかつてのように自分でなにもかも解決することはできません。
そこでTNG時代よりも更に周囲に頼る展開になるのですが、
これが登場人物の描かれ方によい影響を与えていたと思います。
一方で1話では杖をついて若干よぼよぼ(失礼)のお爺ちゃんだったピカードが
宇宙に戻ると活力を取り戻し、杖も必要なくなり、
次第にかつての宇宙艦隊屈指の艦長だった頃のように戻っていく描かれ方が良かったです。
だんだん昔の調子が戻ってきたのか、序盤にあったリオスより先に判断し
命令を出してしまうピカードの姿などはとてもよい描写だったと思います。
TNGの仲間が出る展開はファンへのボーナスステージ
シーズン1ではピカード、データ、ライカー、ディアナというTNGファンにとって嬉しい旧来のメンバーが登場しました。
これはファンにとってのボーナスステージのようなもので私はとても好意的に捉えました。
今後、ウォーフ、ラ・フォージ、ビバリー等にも登場してほしいです。
あと個人的希望としては、バークレーとかオブライエンにも出てほしいのですが難しいですかね。
なお私はウェスリーはあまり好きではないので…
一方客観的に見ると、本作はTNGを未視聴の方には魅力がかなり下がってしまう作品ではないかと思います。
特に重要なデータとピカードの関係性、そしてピカードとボーグとの関係を全く知らないと、なにがなにやらわからないまま進んでいくので見ていてもあまり楽しめないような印象を受けました。
かと言って今からTNGの7シーズン+劇場版数本を観るのも大変だと思うので、「ピカード」はどうしてもTNGのファン向けの作品という評価になってしまうのではないでしょうか。
誰もが避けられない老いや病、そして死について考えさせられる
本作のテーマとして素晴らしいのはすでに老境に達したピカードを通して
人間誰もが避けては通れない、老い、病、そして死について描かれている点だと思います。
ピカードの不治の病設定はあまり頻繁には活かされませんでしたが、これは尺やテンポの関係で仕方なかったと思います。
それでも最終話の仮想空間におけるピカードとデータの対話、そして最後に崩壊していくデータの姿は、私達人間が絶対に避けられない死について深く考えさせられるとても良い内容だったと思います。
魅力的ではないヒロイン
いろいろな意見があると思いますが、私の正直な感想を書くとシーズン1のヒロインであったダージ/ソージに関して、私は全く魅力的なヒロインとは思いませんでした。
演者も彼女である必要性が特に無いですし、また役としての描かれ方もあまり好意的なものには感じませんでした。
あれだけピカードやその仲間に助けてもらったのに恩知らず&わがままな人物で結局最後の最後で改心するーという描き方よりも、もっと早い段階でピカード達とともに進み、スートラをより悪役に据える単純な構造のほうが見てて清涼感があったのではないかと思います。
しかしそんなソージですが、シーズン2以降に登場するのであればまた印象が変わっていくのかもしれません。
データの言うところの「だんだん好きになる味」かもしれませんしね。
字幕と吹き替えが全く違うのは止めてほしい
私はシーズン1を吹き替え版で視聴し、サイトの記事を書く際にどうしても聞き取れなかった部分は字幕版を視聴し直して補強したのですが、
このスタートレック:ピカード 日本語版は吹き替えのセリフと字幕のセリフが全く異なります。
これを2回楽しめると取るかは人それぞれだと思いますが、スタートレックシリーズは字幕と吹き替えのセリフが違うというのが昔から続いています。
(私が視聴済みのTNG、ENT両方ともディスク版で確認するとセリフ等かなり異なります)
些末なところはそれでも良いのですが、大事な所まで大きく異なるのは困ります。
例えばシーズン1、10話のピカードがアルタンは好きになれないというセリフを受けてのデータのセリフ
- 吹き替え「だんだん好きになる味」
- 字幕「噛めば噛むほど味が出る」
となっています。
最終的な目指す方向性はおおよそで同じかもしれませんが、
セリフだけ切り出すとかなり意味が異なってきますよね。
吹き替え、字幕可能な限りすり合わせを行ってほしいです。
シーズン1に残った疑問・考察
シーズン1の各エピソードの記事で考察したものの、
残ってしまった疑問を挙げていこうと思います。
シーズン2以降への宿題という感じです。
データの娘とはなんだったのか?
ピカードはソージ/ダージはデータの娘だと確信し、それがシーズン1の行動原理になるわけですが、私は視聴して彼女たちがデータの娘であるという評価は本当に正しいのだろうかと感じました。
確かにデータのデータ(ややこしい)を使ってマドックスやアルタンによって生み出されたのだろうと思います。
が、それならデータのデータを流用したアンドロイドは全てデータの子供と考えても良いでしょう。
であるならば、コッペリウスにいた大勢のシンスも大筋でその要素に該当するような気もします。
(あの場に居たダージ/ソージ以外のシンスがデータのデータを全く利用せずに0からアンドロイドを作ったとは到底思えませんし)
それにデータが居る記憶領域を利用して生み出されたアンドロイド・ピカードもいわばデータの息子と言えるのかもしれません。
なので私はデータの特別な娘というよりあくまでもマドックス(+アルタン)の娘(というか単に作ったアンドロイド)じゃないのかと感じました。
「データの娘」という表現は視聴者を引き付けるテクニックとしては良いのかもしれません。が、もう少しデータの娘である設定を深める演出・描き方であればなぁと思いました。
ボーグキューブ内でロキュータス!と呼んだのは結局誰でなんの意図があったのか
これは#6で考察したまま謎で残っています。
まず当該人物の可能性としては、第9話で登場したコッペリウスに不時着したボーグキューブ内に居た元ボーグでロキュータス!と呼んでいる人物がいます(15:24あたり)。
ただ、彼は見た目が6話の人物とは微妙に異なるような気も…。
そして何より同じ人であったとしても6話のあの時点でわざわざロキュータス!と呼び止める意味がわかりません。
結局このシーンは私には謎のままです。
可能性はかなり低いと思いますが第2シーズンで謎が解ける時が来るのでしょうか…。
火星のシンスの暴動はどうやって起こしたのか
これも謎です。ロミュラン(ジャット・ヴァッシュ)が自作自演的に暴動を起こさせてシンス禁止令に繋げる意図があった―そこはわかります。
がシンスに暴動プログラムなりを仕込むには人工生命体に対する深い知識が必要ではないでしょうか。
一方で序盤のラリスの言をそのまま受け取るなら、ロミュランは人工生命体を嫌っており、コンピュータもあくまでも計算のみの使用に留めているとのこと。
そんな方針のロミュランが火星に居た作業用シンスを操って暴動のプログラムを起動させることが可能なのだろうか?と私は考えてしまいました。
まだアンドロイドに対する深い知識を備えた黒幕がいても良さそうですね。
スタートレック:ピカードはかつてのTNGとは異なり、連続ドラマ風な作風になっています。したがって後のエピソードで今回挙げた疑問等が明かされる展開があるかもしれません。
この記事はシリーズをシーズン1-1話から順次視聴し、該当するエピソードを初回視聴した時点で書いていますのでご了承ください。