
理想郷(後編) Et in Arcadia Ego, Part 2
by Amazon
スタートレック:ピカード S1-10 ストーリー
スートラとソージは高度人工生命体を呼び寄せるための電波塔建設を進めます。
アグネスはスートラの仲間になったふりをしてピカードを助けるために動きます。
ピカードを監禁から開放し、ラ・シレーナ号へ向けて2人で移動。
一方そのラ・シレーナ号の修理を済ませたリオスとラフィの元に、シンスの集落から逃げてきたナレクがやってきます。そしてそこへ合流するエルノア。
ナレクはボーグキューブに潜んでいたナリッサを騙して爆弾を手に入れリオスらと協力してシンスの電波塔破壊を計画します。
逃げ出したナレクを引き渡す体でリオスらがシンスの集落へ到着。
警備の厳しい電波塔まで近づくのは困難に思えましたが、そこへアルタンが合流。
アルタンは抽出したアルカナの最後の記憶より、彼女を殺したのがスートラであることを知り、スートラの計画阻止に参加します。
アルタンはスートラの目前へ行き、彼女を批判し持っていた装置で機能停止させます。
そのスキにリオスらは電波塔へ向けて爆弾を投げますがソージがそれをキャッチ。
爆弾は遠くに投げられ、電波塔を破壊する手段は無くなってしまいました。
ラ・シレーナ号ではピカードとアグネスが艦を発進させ1機だけでロミュラン艦隊に立ち向かいます。
惑星軌道上では蘭の花の防衛システムとロミュラン艦隊が戦いますが、多勢に無勢で花は全滅。
いよいよラ・シレーナ号のみになりました。
ピカードはソージに思いとどまるように告げ、代わりに自分の命を差し出すと告げロミュラン艦に向かって特攻します。
アグネスがブリッジにあったシンスのイメージ増幅器を使ってラ・シレーナ号の幻影を多数作り出す、「新ピカード作戦」を実行、ロミュラン艦を困惑させます。
しかしロミュラン艦の攻撃がラ・シレーナ号に当たり幻影は全て消え手が無くなりました。
一方ボーグキューブからピカードの乗るラ・シレーナ号破壊を図るナリッサ。
そこへセブンが現れ、ナリッサと戦いになります。
セブンはナリッサをキューブの奈落の底に突き落とし、ピカードを救ったのでした。
万策尽きロミュラン艦隊とラ・シレーナ号1隻だけで対峙するピカード。
そこへライカーが率いる惑星連邦の艦隊が到着。
ロミュラン艦隊と対峙しライカーはコッペリウスは惑星連邦の保護下にあるため引くようオウに圧力をかけます。
オウは先に到着したロミュランに優先権があると主張しましたが、その前にピカードがコッペリウスマドックスのオフィスから住民とファーストコンタクト状態にあると連邦に送っていたメッセージの方が時系列的に早かったため優先権は連邦に発生。
それでもにらみ合うロミュランと連邦艦隊。
そのときソージの作った電波塔が完成し開いたゲートより高度知的生命体の先遣隊が出現し始めます。
ピカードはソージにゲートを閉じるよう説得しようとしますが、その時ピカードの様態が急変し、もはや生死の境をさまよう状態に。
ピカードはアグネスに最後の手段として薬物投与による一時的な延命処置を指示します。
ピカードの必死の説得でソージは改心し、電波塔を破壊。
高度知的生命体を呼び出していたゲートは閉じ彼らは帰っていきます。
そしてロミュラン、連邦艦隊とも去っていきます。
それを見届けライカーに別れを告げたピカードはそのまま最後の時を迎えます。
地上ではピカードの仲間たちが彼の死に直面し悲嘆に暮れます。
ピカードは死後の世界でデータの意識と出会います。
データ曰くここはシミュレーションの場のようなものであること、そして自分は艦長を救って死んだことは何も後悔していないと告げます。
それを聞いたピカードはデータが生きている時に伝えることができなかった、彼を愛していたという言葉を伝え、長年のデータを死なせた事に対する後悔が必要無かったということに納得するのでした。
ピカードとデータの居た空間にドアが開きデータはピカードに「あちら」に戻るように伝えます。
実はピカードが亡くなる直前に彼の意識をアグネス、アルタン、ソージがアルタンが転写保存しアンドロイドボディに移していたのでした。
データはピカードに最後の願いとして現実世界に残っている自分の一切の記録を消してくれるように頼みます。
データは人間になりたく、人間として完成するためには死を迎える必要があり、そのためには自分のデータが抹消されることが必要だとピカードに説きます。
データの願いに躊躇いながらも約束を守ると告げるピカードは光のドアから現実世界に戻っていきます。
そして現実世界では元通りの姿のピカードのまま目覚めるのでした。
アグネスら曰く、ピカードは94歳の姿のままであり、いわゆるアンドロイドボディのスーパーパワーのようなものは何も持たせていないとのこと。
ただし脳の病気は無くなったと告げます。
まさか自分を不死身にしたんじゃないのか?と危惧するピカードに対して、脳の病気が無ければこれくらい生きたであろうという年まで生きるように設計してあるとのこと。
ではあと10年?それとも20年?と尋ねるピカードに対して一同は否定も肯定もせず微笑むのでした。
コッペリウスのラボではピカードがデータとの約束を果たします。
データの情報が保存された端末からメモリーキーを引き抜くと仮想空間に残っていたデータに変化が生じます。
これが死であると悟ったデータは現れたピカード艦長の幻影に看取られながら霧散し死んでいくのでした。
コッペリウスを出発するラ・シレーナ号のブリッジにはリオス、アグネス、ラフィ、エルノア、セブン、ソージ、ピカードの姿がありました。
ソージはコッペリウスには残らず宇宙を旅するとのこと。
リオスはピカードを提督と呼び合図を促します。
ピカードは発進!と命じ、ラ・シレーナ号は宇宙に向けて飛び立つのでした。
第10話 理想郷(後編)の疑問
スートラはナレクに何をさせたかったのか
9話でナレクに「やってもらいたい事がある」と言いナレクを逃したスートラ。
しかし本エピソードを見ても結局ナレクに何をさせたかったのかがハッキリしません。
彼女の意図はなんだったのでしょうか。
ナリッサはなぜボーグキューブに残っていたのか
8話のキューブ内の戦闘でボーグ達に追い詰められたナリッサは転送で逃げましたが、キューブの外にいた自分の船に逃げたのではなくキューブ内にとどまっていたようです。
彼女はなぜ今後どうなるかも分からないキューブ内に残ったのでしょうか。
なぜアルタンはスートラを機能停止させた後、ソージも機能停止させなかったのか
アルタンはスートラに近づき持っていたスティック状の機器であっさりと機能停止させます。
そのままソージも機能停止させれば電波塔の完成を阻止できたはずですがなぜそれをしなかったのでしょうか。
アグネスはなぜシンスのイメージ増幅器を使えたのか
新ピカード作戦のためアグネスはシンスのイメージ増幅器を用いてラ・シレーナ号の複製を大量に作り出します。
しかしシンスのイメージ増幅器をラフィが受け取った場にアグネスはいませんでした。
なぜ彼女はイメージ増幅器を使えたのでしょうか。
ピカードの死を悼む仲間のシーンがおかしい
ピカード死亡を受けて仲間たちがそれぞれ彼の死を悼み嘆きます。
が、あの一連のシーン、落ち着いて考えるとおかしいような気もしますが…。
B-4にデータの情報があるのになぜ死を迎えたのか
データの情報はB-4に移されており、そのB-4は沖縄のデイストローム研究所に保管されています。
にも関わらずコッペリウスにある端末から情報を消した時点でデータは死を迎えているのはどういうことなのでしょうか。
ナレクはどうなったのか
電波塔破壊に向けたシーン以降、ナレクは登場しません。
ラ・シレーナ号のブリッジにもいませんし彼はいったいどうなったのでしょうか。
ボーグキューブと乗っていた元ボーグ達はどうなったのか
旅立つラ・シレーナ号にセブン・オブ・ナインの姿があります。
がボーグキューブとそこに乗っていた他のボーグ達はどうなったのでしょうか。
アグネスの罪を償う話はどうなった?
ラストのシーンでリオスとアグネスの親密ぶりが描かれるわけですが、アグネスは自首して罪を償うと言っていたはずです。
なのに全て丸く収まってOK的な雰囲気になっています。
マドックス殺しの件はいったいどうなるのでしょうか。
第10話 理想郷(後編)の疑問への考察
ラ・シレーナ号を破壊させたかった?
作中で明確にスートラの意図が描かれていないので推測しかできませんが、
ラ・シレーナ号が復旧すると厄介だと感じその破壊をナレクにさせたかったのではないかと考察しました。
ラ・シレーナ号が復旧すれば「やっぱり一緒に避難しようかなぁ」と考えるシンスが出てくるかもしれません。
スートラの言動を見ていると彼女はどうもシンス達のリーダーとして振る舞いたかったような節があります。
となると離脱者がでるとリーダーとしての資質を問われる状況にもなりかねません。
そうなると自分たちが生き残った後での彼女の支配力にヒビが入るかもしれない。
ですので、そういった不確定要素が発生するのを取り除きたかったのではないかと。
一方、スートラも他のシンスたちも不時着していたナレクは捕獲してきたのに
ボーグキューブに関してはなんのアプローチもしていないのが気になります。
あれだけ巨大な構造物に気が付かないとは思えないのですが…。
もしかすると機械を埋め込まれているボーグ達に対しては僅かながらシンスに通じるものがあるとして積極的に捕らえるような事はせず半ば見逃していたのかもしれません。
ナリッサの緊急回避転送は行き先が限定されている説
本作ではこれまで2回ナリッサは緊急回避転送で逃げています。
私は2回目でてっきり彼女はボーグキューブの外にいたロミュラン艦のいずれかに乗ってコッペリウスに向かったのだと思っていたのですが、どうやらずっとボーグキューブの中にいたようですね。
ただし、この2回目の時点でボーグキューブがワープしてコッペリウスに向かうという事はなんら確定していません。
それなのになぜキューブ内にいたのかというと、おそらくあの緊急回避転送はキューブ内のナレッサの隠れ家にしか逃げられない設定なのではないかと思われます。
ですのでコッペリウスにナリッサがたどり着いたのはご都合主義たまたま偶然ということなのでしょう。
アルタンの停止装置はそもそもソージに効かなかった説
アルタンが持っていたスートラを停止させた装置。
実はあれ金ピカタイプのアンドロイドにしか効かないのではないか?と考察しました。
予測にしかなりませんが、アルタン主導で作ったアンドロイドは金ピカタイプ。
そしてマドックス主導で作ったアンドロイドはより完成度が高く、人間にしか見えないソージ/ダージタイプという感じでそれぞれ仕組みが異なるのかもしれません。
よってアルタンの持っていた停止装置は自分が主導で作ったタイプにしか効かない…と考察しました。
アグネスはシンスの集落で似たような機械を使っていた説
エピソードをそのまま素直に視聴すれば、ブリッジに置いてあったイメージ増幅器をアグネスがいきなり使えたのはあまりにご都合主義に感じます。
そもそもアグネスはあれがイメージ増幅器と知らないわけですからね。
しかし、実際に使えたという事はシンスの集落でシンスやアルタン側について単独行動していた時に似たような機械を使った事があったということなのだろうと思います。
死を悼むよりも復活を願うのがまっとうな反応ではないのか
ピカード死亡のシーンですが、ラ・シレーナ号からソージが緊急転送でコッペリウスに搬入。
そこでピカードはラフィやエルノアに最後の言葉を告げます。
この時、時間帯は昼間でまだ日が高い状態です。
その後夕方と思われる時間帯に仲間たちがピカードの死を悼むシーンが描かれます。
だが待ってほしい。
ピカードが完全に亡くなる前に彼の意識を精神転写しないと後のアンドロイド・ピカードは成立しないと思われます。
一応スタートレックの世界では死亡後でも暫くの間であれば蘇生は可能ですが、ピカードの場合、事故死等ではなく脳の病気由来なので蘇生措置がどこまで使えるかも分からず、となるとやはり亡くなる前に精神を急いで移すことがベターだと思われます。
そうなると、まだ完全に死亡してない状態でピカードの意識を移す作戦が急いで実行されたものと考えるのが自然であり、仲間たちも当然その事は知ったと思われます。
なのにまるでピカードと永遠のお別れの様に振る舞って嘆き悲しんでいるのはおかしいですよね。
私はあの場面であればピカードの意識が無事にアンドロイドボディに移され、蘇ってほしいと必死に願うのが自然では無いかと思います。泣いてる場合ではないのですよ。
あの状況では悼むよりも願うのがまっとうな反応ではないかと思う次第です。
またああいったミスリードを誘う演出は蛇足だと感じました。
(だってあの時点で残り再生時間がまだ17分もあるからこれから一展開ありそうですし…)
あくまでも死を迎えたのはコッペリウスにいたデータの情報由来のもののみ説
まず本作の時間軸ではコッペリウスにあるデータの情報、B-4に移したデータの情報があります。
そしてこれは推測ですが、データのような貴重な存在のデータ(ややこしい)はいくらシンス製造禁止令が出ているとは言え、他の科学分野においても貴重な研究材料であると考察されます。
であるならば他にバックアップを二重三重に取っておいてもなんらおかしくありません。
なのにコッペリウスの端末からデータの情報を抹消しただけで作中のデータは安らかな死を迎えています。
私が考えたのは「あの世」でピカードが出会ったのはあくまでもコッペリウスにあるデータのデータが作り出したシミュレーション空間(ピカードの意識もそこに一時保管された)であって、死を迎えたのはコッペリウスにある情報を元にしたデータだけではないか?というもの。
ですのでB-4の中やその他の場所にバックアップであるであろうデータのデータに基づくデータはまだ死んではいないと考察しました。
ナレクはボーグキューブに残って脱出を図る?
電波塔での大暴れ以来、ナレクは全く出てこないので彼がどうなったのかわかりません。
可能性としては
- ラストで映ってないだけで、ラ・シレーナ号には生き残ったボーグ達と一緒にナレクも乗っていて一緒にコッペリウスを出る。
- 実はボーグキューブは復旧していてボーグ達と一緒に連邦のどこかの領域に向けて出発した。ナレクもキューブ内に潜んでいて密航状態で脱出。
等がありそうです。
ナレクに関してはあえて描かない事でシーズン2の伏線になっているのかもしれないですね。
またボーグキューブに残っていたボーグ達を連邦がそのまま見捨てるとは思えないので、彼らもラ・シレーナ号で移動するか、あるいは何らかの手段でコッペリウスから脱出するのだろうと思われます。
連邦からアグネスに恩赦が出た説
ラストで当たり前のようにブリッジに座って明るい未来が待っている!ふうにしているアグネス。
いくらコッペリウスの件で活躍したとはいえ、それはそれ。マドックス殺害という事実が消えるものではありません。
またラ・シレーナ号に普通に乗って出発していることから、おそらく地球に帰るものと思われます。
なのにあまり悲嘆に暮れているようにも見えません。
私はアグネスに関してはオウ准将により心身相関状態にあったとして連邦から恩赦が出たのではないかと推測しました。
ただそうなると殺されたマドックスの親戚はたまったもんじゃないですが…。
備考
スタートレック:ピカードシーズン1が終了。
最後にピカードがアンドロイドになるというものすごい展開になりましたが、一応めでたしめでたしで完結しました。
正直なところ、このシーズン1で見事にきれいに終わったので、シーズン2は何をするんだろう?という気もします。
オウ准将は逃げたので彼女が更に暗躍するんでしょうか?
あるいはセブンの所属する謎の組織フェンリス・レンジャー絡みの話を膨らませて行くんでしょうか?
それとも、アンドロイドになったピカードが自己の存在や人間とはなにか?について悩む姿を描くんでしょうか?(これはこれで私は好きですが、世間受けはあまり良くなさそう…)
興味は尽きませんがシーズン2も楽しみです。
スタートレック:ピカードはかつてのTNGとは異なり、連続ドラマ風な作風になっています。したがって後のエピソードで今回挙げた疑問等が明かされる展開があるかもしれません。
この記事はシリーズをシーズン1-1話から順次視聴し、該当するエピソードを初回視聴した時点で書いていますのでご了承ください。